カナダで出会える動物たち
カナダを含む広大な北米大陸には多種多様な動物が生息しています。
ハイイログマ(グリズリー)、アメリカグマ、オオカミ、オオヤマネコ、ボブキャット、クズリ、ビーバー、コヨーテ、ハイイロギツネ、ホッキョクギツネ、アメリカバイソン(バッファロー)、ピューマ(クーガー)、ムース(ヘラジカ)、エルク、カリブー、オジロジカ、オグロジカ、シマスカンク、オオツノヒツジ、ハクトウワシ、アメリカアカリス、プレーリードッグ、マーモット、ラッコ、セイウチ、さらに様々なネズミやウサギなどなど。
その総数は3万種近くに上るともいわれ、カナダ環境・気候変動省は、2015年版のカナダの野生生物の生息状況評価報告書で2万9848種の生息状況を報告しています。
一方で、そのうち実に20パーセントの動物が絶滅の危機に瀕しているというショッキングな報告もあります。中には、地球単位での自然淘汰もあるのかもしれませんが、そのほとんどは環境破壊や乱獲など、人間が自然環境に与えた変化が原因といわれます。
実際に、カナダを旅行中に野生動物に遭遇する機会はそれほど多くはないかもしれませんが、もし美しいカナダの大自然の中で、野生の生き物たちに出会えたら、餌をあげたりせずに是非静かに見守ってあげてくださいね。
というわけで、カナダで出会える(可能性のある)動物たちをご紹介しましょう。
バイソン
通称「バッファロー」とも呼ばれるバイソン(アメリカバイソン)はオスの大きなものだと体長4メートル近く、重さは一トン近くという巨躯と、もこもこの毛が生えた貫録のある見た目が特徴のウシ。かつては北米大陸に6000万頭以上も生息していたといわれますが、乱獲などで一時は1000頭以下に激減、国立公園や保護区が出来たことにより1970年には15,000 ~30,000頭まで回復したといわれます。
遠距離ドライブをしていると、もしかして路肩に佇んでいる姿を目にすることがあるかもしれませんが、もし道路に近い所にいたら少しスピードを落として通り過ぎるようにしてくださいね。飛び出してくることはあまりないかもしれませんが、もし1トン近くのバイソンにぶつかってしまったら、大事故につながりかねません。なんせ、このバイソン、話によるとヒグマ(グリズリー)よりも強いこともあるとかで、記録によるとヒグマがバイソンに追いかけられて逃げている所が目撃されたとか、バイソンによって殺されたと思われるヒグマが発見されたりしているそうです。鋭い角をもったバイソンが集団で追いかけてきたら、さすがのヒグマもひとたまりもないのかもしれません。
ブラックベア(アメリカグマ)
ブラックベアと呼ばれるアメリカグマは、カナダに生息するクマとしてはグリズリーよりも多いとされるクマです。体長は140センチメートル~180センチメートル、体重は250キログラム前後から大きいものになると400キログラムにもなります。カナディアンロッキーをはじめとするカナダの森林地帯に生息し、その総数はおよそ38万頭。カナダでは山岳地域を車で走っていると、遭遇する可能性のあるクマです。写真やYoutubeなどで見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
もしドライブしていてクマに遭遇した際には、くれぐれも車から降りずに見守ってあげてください。珍しいからと観光客が車から降りて写真を撮ったりしているのを見かけますが、おすすめできない行為です。本来、ブラックベアは木の実や植物などを食べていて、それほど攻撃的ではないともいわれますが、それでも車から降りて近寄ったりするのは危険です。特に子連れのクマ、子育て中の母グマには絶対に近づかないようにしましょう。
グリズリー(ハイイログマ)
グリズリーベアと呼ばれるハイイログマはヒグマの一種の大型のクマ。体長は2メートル、体重は450キログラム以上、とブラックベアよりも大きなクマです。カナダ全域に生息している数は2万頭と、ブラックベアと比較すると少ないですが、その体の大きさと、ヘラジカやトナカイなども捕食するという力や性質から一般に怖れられているクマです。体が大きい割に時速50キロメートル以上で走るというその早さも驚異的。実際、観光客やハイカーが遭遇して襲われたニュースもあり、出来れば遭遇したくない動物です。
シロフクロウ
カナダのケベック州の州鳥にもなっているシロフクロウは、その名の通り、白い羽に体を覆われた大型のフクロウ。フクロウというと一般的には夜行性で昼間には動物園でもなければ中々見る事が出来ない鳥ですが、シロフクロウは昼間でも活動することで知られています。林の中の木ではなく、草原などの岩や切り株など、見通しのいいところにとまってエサを探すことも多いので、ハイキングをしたりしている際に運が良ければ見かけることがあるかもしれません。特にマニトバ州やオンタリオ州などで見られることも多いので、ネイチャーツアーなどに参加するのもおすすめです。
カンジキウサギ
英語ではスノーシューヘアといわれるカンジキウサギは、カナダの森林などに生息するウサギ。冬は写真のように白い毛をしていますが、雪が解けると褐色の毛になります。コヨーテなどの肉食獣の捕食対象でもあるカンジキウサギは、1年に2~3回、多い時では一度に7~8匹も子供を産むという子だくさんのウサギ。夜間にエサを探すことが多いので、昼間には中々遭遇できませんが、エサの少ない冬場ならもしかして遭遇するチャンスがあるかもしれません。
オコジョ
その愛らしい見た目に反して意外にも性格は攻撃的というオコジョ。その姿だけを見ているととてもそうは見えませんが、エサを取る際などにはとても攻撃的になるといいます。人呼んで「かわいすぎる猛獣」。そんなオコジョは、カナダで見かける小動物の一つです。冬場には目にも鮮やかな美しい白い毛に、温かくなると褐色の毛色にかわります。毛の色が変わってもそのかわいさは変わらない!動きは非常に敏捷なので、もし見かけたら驚かせないように静かに立ち止まって観察することをお勧めします。
カリブー
カナダには約300万頭生息するというカリブーは、カナダを代表する動物の一つ。先住民族にとってもとても重要な存在であったようで、食用としてはもちろん、毛皮から骨、角に至るまで様々に利用されたといいます。そんなカリブーは、群れになって移動するのが特徴で、多い時には数十万頭の群れで大移動をするとか。小型飛行機にでも乗らなければ、中々そんな場面には遭遇することはできませんが、運が良ければ数頭から数十頭で固まってエサを食べたり水を飲んでいる所に遭遇できるかもしれません。
→ 関連記事:カナダのカリブー
シマリス
カナダでもっともよく遭遇する野生の小動物といえば、リスかもしれません。日本でリスといえば可愛らしくて小さな、でもあまり見かける機会の少ない動物、というイメージですが、カナダでは至る所で目にします。大きな公園はもちろん、大学や町の中でも遭遇することもあります。種類も大きさも様々なのですが、そんなリスの中でも町中ではあまり遭遇することのないリスがシマリス。森の中で暮らしていますが、昼行性で昼間にエサを探すので、森の中を散策している時などに遭遇する機会があるかも。
マーモット
ミーアキャットのように立ち上がって周囲を警戒する姿が愛らしいマーモットはリス科のマーモット属に分類される動物。大きいもので体長60センチメートルほどになるので、比較的目立つ動物です。警笛のような甲高い警戒音を出し合って互いに危険を知らせるのも特徴的。比較的人に慣れているといわれるので、もしかしたら間近で見る事が出来るかもしれません。
コヨーテ
凛々しい姿が印象的なコヨーテは、その姿からも分かる通り、オオカミの近縁種。北米大陸を代表するイヌ科の肉食獣の一つです。通常はネズミやウサギ、魚などを狩って暮らしていますが、時には人を襲うこともあるといい、実際に襲われて人が亡くなった例もあるので、近づかないように気を付けてください。
ピカ
カナディアンロッキーで出会える小動物たちの中でも特にかわいらしい動物として人気の「ピカ」は、ナキウサギ科のウサギ。甲高い声で鳴くのでナキウサギの名があるそうです。短い脚と丸い耳が特徴で、実に愛らしい顔をしています。昼行性で昼間にエサを求めて動くので、見かける可能性も高まります。甲高い鳴き声はピカにとっては警告音なのだそうですが、逆にこの鳴き声ゆえにそこに「ピカ」がいる、ということに気が付いてしまうというのも、ピカにとっては逆効果!?もしカナディアンロッキーの岩場などで鳴き声が聞こえたら目を凝らして静かに周囲を見回してみて下さいね。
ムース
北アメリカではムースと呼ばれるヘラジカは、体長は大きなもので約3メートル、体重は800キログラム以上にもなるという、シカの中では最大の種です。目の前に現れるとその存在感、威圧感には圧倒されるほどの大きさ。とはいえ、草食獣なので普段は地衣類やコケ類などを食べている動物です。また泳ぎが得意で水草なども食べるといいます。カナダでは、ビーバーと共に国を象徴する動物とされているムース。沢山生息している地域では、衝突注意の道路標識もあるので、注意しながら運転してくださいね。
ビッグホーンシープ
大きくカーブした立派な角が特徴的なビッグホーンシープは、カナダのアルバータ州やブリティッシュコロンビア州などの山岳地帯に生息する動物です。特にカナディアン・ロッキーなどで見られるので、バンフ国立公園などに行く際には、出会えるチャンスがあるかもしれません。オスの体長は150~170センチメートル、メスは140センチメートル前後、体重はオス、メス共に55~100キログラム前後です。
ビーバー
木でダムを作り、時には川の流れを変えてしまう事もあるというビーバー。カナダの国獣でもあるこの動物は、直径10センチメートルの木でも齧って削って、わずか15分ほどで倒してしまうともいわれる強靭な「歯」の持ち主です。尾は上の写真のようにオールのような形状をしていて泳ぐときにまさにオールのように推進力の助けになるとか。後ろ足には水かきもあり、さらに足の間に脂を出す所があって、この脂を毛に塗ることにより毛が水をはじくなど、水の中で暮らすのに適した体になっています。
ホッキョクグマ
体長2.5メートル、体重は大きいもので最大800キログラムにもなるというホッキョクグマ。ホッキョクグマというとその名の通り北極でしか見られないようなイメージを持っていらっしゃる方も知るかもしれませんが、実はカナダでも見る事が出来るのです。例えばカナダのマニトバ州北部の町チャーチルという所は、ホッキョクグマを見る事の出来る場所として知られる所。ハドソン湾に面したこの町の周辺には毎年10月下旬になると、多い時で約900頭ものホッキョクグマが集まってくるとか。ホッキョクグマは冬の間氷の張ったハドソン湾でアザラシを獲って暮らすのだが、そのハドソン湾で一番最初に氷が張るのが地形や海流、真水が流れ込む川があるなどの理由でこのチャーチルの町に面した海だからなのです。ホッキョクグマたちはチャーチルに集まって氷が張るのを待ち、海が凍結するとアザラシを狩りにハドソン湾全体に散らばっていくのだそうです。
ホッキョクギツネ
ホッキョクグマ同様、カナダでも見る事の出来るホッキョクギツネ。マイナス70度の世界でも生きることができるという、寒さのエキスパートです。カナダでは主に北極圏のユーコン準州などに生息しています。